[今無革銀屋]のこだわり


ようこそ、おこし下さいました。[今無革銀屋]で御座います。(^o^)商品を作るにあたっての経緯やこだわった部分を徒然なるままに書いてみました。お時間のある時にでも、お気軽にご覧下さい。m(_ _)m
開発の経緯 コンセプト
デザインの由来 メイキング
さいごに

  開発の経緯 >TOP
本業が貿易という仕事柄、欧米人と飲食を共にする機会がしばしばあります。
その時、私の愛用の十字架で有名な某ブランドのライターを使うと必ず、‘Are you Christian?’と聞かれました。
最初はあまり気にしなかったのですが、あまりに毎回聞かれるので尋ねてみると文化の違いでしょうか、キリスト教徒以外が純粋なクロス(十字架)モチーフのアイテムを使うことに彼らの多くは違和感を感じることが判りました。

私も海外では少しへんでは?と感じることがしばしばあります。よく体験するのは漢字のタトゥー(入れ墨)です。欧米人はファッションの一つでよくタトゥーを入れているのですが、内容がおかしな物が多くてびっくりします。マッチョな男性が‘乙女座’と入れるのはまだいいほうです。悲惨なのは、‘聖糞’とか、‘性交貴方’等日本では歩きにくいようなものを堂々と彫っている(彫られている?)人も多々います。

クロスはここまで極端な違和感ではないと想うのですが、少し考えさせられました。それとともに日本人として海外でも自然と愛用出来、話題の種としても使え、さらには日本文化の話へとも発展できそうな‘和風デザイン’のアイテムがあればいいな、と思ったのが当初のきっかけです。

異文化の方でも特に日本に興味を抱いている人とのコミュニケーションを取る機会では、それぞれの文化の話をする事が多々あります。人によっては日本人よりも我々の文化に精通していて驚くこともしばしばです。そのような方とであった時に日本人の文化論や価値観を語れるようなアイテムを想いうかべました。

後ほど一念発起して商品開発へと移るのですが、幸い仕事でブランド物も扱っていたので一流と言われる革小物に触れる機会も多く、進めていく上でとても参考になりました。

  □コンセプト >TOP
多くのブランドはコンセプトを元に商品開発をしています。私も商品開発に当たり、コンセプトを決めそれにそって商品を創ることにしました。きっかけは販売よりもむしろ自分で使いたかった商品でしたので、すらすらと商品のイメージが沸いてきました。

キーワードとしては、

・愛      着→和風、個性、経年変化
・経年変化→天然皮革、(いぶし)銀、愛用期間(時間の共有)

等が浮かび、それらをまとめて、‘個性と共有’と決めました。

  □デザインの由来 >TOP
一言で‘和’のデザインといっても人によって様々なイメージを持たれていると想います。
皆が共感できるデザインは恐らく不可能なので、最大公約数で考えることにしました。

‘温故知新’と言う言葉がありますが、我々がご先祖様から脈々と引き継いできた文化は自然にDNA内に受け継がれていることでしょう。その共通の‘感覚’のヒントは‘古’のデザインに含まれるとの仮定で考察、調査を始めました。

記憶は書き換えられるものですので、現在からみて逆に新鮮なのは室町文化以降の江戸期までと推定して重点的に調べました。具体的には、その時代の人の感動がどこにありデザインに取り入れられていったのかです。

現存する当時のデザインには、‘植物’‘静物’が圧倒的に多いこと、それらがデザインになる時に込められたエピソード等、が判りとても興味深い作業となりました。

欧米民族は歴史上、狩猟民族であり一般的には好戦的と言えると思います。彼らはその象徴として‘動物’中心のデザインを好んできましたが、我々にはそれらとは異なる文化が垣間見れます。伝統的なデザインモチーフだけから想えば、我々の多くは本来、平和主義の穏やかな農耕民族であったような感覚を受けました。

商品デザインの作成プロセスにおいて、それらの感覚を踏襲することにしました。私の好きな植物、静物、それらをリメイクし、アイテムにセットした時の表情を確認し、最終的に選定されたデザインを商品に取り入れました。

多くの商品に共通して用いる銀パーツデザインは、とても拘り試行錯誤を繰り返しました。私は‘和’の銀は硫化(いぶし銀)してもかっこよくなければ、との思いが強く様々なデザインを試みました。

結果的に一番良く使う‘コンチョ’には‘山桜’のデザインを元に立体化しました。日本の桜は我が国固有の物で、他の国の桜とは異なります。‘花は桜木、人は武士’の言葉で称えられた満開の桜の美しさ、散り際の潔さへの感動は我々の共通の感覚ではないでしょうか。

以上のプロセスから弊サイトの全てのアイテムは昔ながらの表現手法をリメイクした和風のデザインとなっています。
詳細に興味があられる方は
デザインモチーフの紹介をご覧下さい。我々の歴史の中で自然と本来身に着けている感覚や、美徳を感じて頂けるかと想います。

当初の目的であった我々の感覚を表現することには成功したと想います。具体的なイメージを異邦の方に伝えるにはやはり極東の小さな島国までおいで頂き、春先の桜などを体験して頂くのが一番ですが、そのきっかけの一つになれば私はとても嬉しいです。

もしその機会を持たれる時が来たなら、表面的な経済面とは異なる日本人の内側、感受性の素晴らしさを是非ともアピールして頂きたいと想います。

 □メイキング  >TOP
商品を実際に作るに当たって最初に考えたのはコストダウンです。お気軽にお使い頂くためには販売価格を抑える必要がありました。

革製品の製造は工業化の時代の中において、手作り部分を多く残した数少ない産業の一つです。製作工程の殆どは、熟練した職人の手を経なければなりません。コストの多くを占める人件費を抑える為に、海外の工場を探し始めました。

様々なブランド物を扱っていたので‘職人に国境無し’は肌で感じていました。後はスキルの高い職人さんを持つ工場を探す作業です。幸い幾つかの工場を巡り、最高の職人さん達に出会うことに成功しました。物づくりには長けた方たちでしたが、デザインの仕上の細かい感覚は我々とは異なります。綿密に打ち合わせしサンプルも何度も作って頂く事により、調整しました。

革にも拘りました。気軽に使って頂きたかったので一部のブランドで毎年買い占められる‘最高級’と言われる革には魅力を感じませんでした。(恐ろしく高いです。)寧ろ、普段あまり目にしないような珍しい革を使うことに拘りました。例えば、スティングレイ(エイ)の皮がありますが、これは昔‘刀’の柄にも使われていた革でとても丈夫で個性的な素材です。

私は、革には一種の憧れを感じますが、皆さんは如何でしょうか。それも高級皮革や、人工皮革のような‘きれい’な革よりも粗野で素朴な野性的な革により魅力を感じるのです。我々人類の遠い祖先は狩猟で得た‘獲物’の一つとして皮(革)も使っていたと想われますが、今の時代では体験できるものではありません。その遥か昔の‘獲物’的な感覚が何かしら残っているのかも判りません。

銀の型起こしに関しては最大の苦労を経験しました。2次元の世界と違い3次元の立体的なデザインはちょっとしたエッジの削り方でがらっと雰囲気が変わってしまいます。デザインが決定した後、ワックスは述べ8回も作り直し、当初の発売予定からすると3ヶ月も伸びてしまいました。;D

全てのパーツが揃うと製品を仕上げていくのですが、一心不乱に作っている職人さんの作業を見ていると感じ入るものがあります。革をカットし、穴を開け、装飾パーツをセットし、エッジは手編みで一つ一つ仕上げています。使い頂く方にご満足頂けるよう、心を込めた作業です。商品を手にされた方は、手作りならではの暖かな雰囲気をお楽しみ頂けると想います。


また、全ての商品は年月と共に劣化していく人工皮革とは異なり、お使い頂くほどに味が出てきます。後々の経年変化もお使いいただく楽しみの一つとなることと想います。

 □さいごに >TOP
少し重くなりますが、、

最近は景気のせいもあるのでしょうが、利己主義が蔓延して本来我々の持つ‘美徳’が感じられないことが多々あります。戦後の方々の努力は我々の現在の生活に繋がりとても有難いことなのですが、無理な経済発展の‘つけ’も来ているのかとも想います。

鎖国明けから続く欧米至上主義から此処まできたのですが、欧米と経済面では肩を並べた今こそ本来の姿を考察すべき時だと想うのです。一時貴重なわが国の文化遺産が‘古臭いもの’として、それを好む海外に続々と流出した時期があったそうですが、今私がそれらを見るととても新鮮に感じます。

世界には色々な民族、文化がありますが排他的な部分を除き、どれも素晴らしいと想います。それらの優れた部分を我々が自らの教書としさらに発展していくには足元をしっかりと固める必要があると感じるのです。それ故に今の時代こそ我々は、日本人であることを意識し、自信や誇り、美徳を取り戻さなければと思うのです。

弊サイトの商品にはそれらの思いを込めてまた、自らにも言い聞かせて創りました。多忙な日々の中で、少しの休息の時間にでも目を落として頂き思いを馳せて頂ければ嬉しく思います。有難う御座いました:D

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